この記事では、PowerShellからMySQLのテーブルデータを取得する方法についてご説明します。
【動画】PowerShellからMySQLのテーブルデータを取得する実際の動き
本題に入る前に、まずは次の動画をご覧ください。
まずPowerShellからMySQLを操作するための「MySql.Data.dll」を読み込みます。
そのあとに接続文字列を設定し、PowerShellからMySQLのデータベースに接続します。
接続したら、取得先のテーブルに対してSELECT文を実行してテーブルデータを取得しています。
今回はコンソール上に取得したデータを表示させています。
コードの流れ
PowerShellからMySQLを操作するには「MySql.Data.dll」を読み込む必要があります。
ここでは、MySQL接続先のサーバ名、データベース名、ユーザ名、パスワードを指定します。
MySQLのデータベース・テーブルの例
今回は下のMySQLのデータベースとテーブルを用意しました。
MySQLのデータベースには「syain」のテーブルが存在しており、10件のデータが存在しています。
今回はこの10件のデータをPowerShellが取得してコンソール上に表示させます。
表示させた結果は下のとおりです。
PowerShellのコード(例)
# PowerShellからMySQLを操作するための「MySql.Data.dll」のフルパスを取得する $diiPath = "C:\Program Files (x86)\MySQL\MySQL Installer for Windows\MySql.Data.dll" # 「MySql.Data.dll」を読み込む [System.Reflection.Assembly]::LoadFile($diiPath) | Out-Null # MySQL接続文字列を設定する $server = "localhost" $database = "testdb" $user = "root" $password = "testPass@123456" # 接続文字列を設定する $connectionString = "Server=$server;Database=$database;Uid=$user;Pwd=$password;" # MySqlConnectionオブジェクトを生成する $connection = New-Object MySql.Data.MySqlClient.MySqlConnection($connectionString) # SELECT文を設定する $query = "SELECT * FROM syain" # MySqlCommandオブジェクトを生成する $command = New-Object MySql.Data.MySqlClient.MySqlCommand($query, $connection) # データベースに接続する $connection.Open() # SELECT文を実行する $reader = $command.ExecuteReader() # 空の配列を用意する $table = @() # テーブルのフィールド名をすべて取得する $columnNames = $reader.GetSchemaTable() | Select -Expand ColumnName # 取得したデータの最終行まで処理を繰り返すwhileループ while ($reader.Read()) { # 1行分のデータを格納するPSObjectインスタンスを生成し、rowに格納する $row = New-Object PSObject # フィールドの数だけ処理を繰り返すforeachループ foreach ($columnName in $columnNames) { # rowに行のデータを格納する $row | Add-Member -MemberType NoteProperty -Name $columnName -Value $reader[$columnName] } # tableにrowの値を追加で格納する $table += $row } # 表形式でtableの値を出力する $table | Format-Table -AutoSize # データベースとの接続を閉じる $connection.Close()
注目すべきコード①
最初に見て頂きたいのは2行目から5行目です。
# PowerShellからMySQLを操作するための「MySql.Data.dll」のフルパスを取得する $diiPath = "C:\Program Files (x86)\MySQL\MySQL Installer for Windows\MySql.Data.dll" # 「MySql.Data.dll」を読み込む [System.Reflection.Assembly]::LoadFile($diiPath) | Out-Null
コードの説明
以上のコードは、PowerShellからMySQLを操作するための「MySql.Data.dll」を読み込むコードです。
「MySql.Data.dll」はPowerShellからMySQLを操作するのに必要なファイルで、PowerShellからMySQLへの接続やSQLクエリの実行などが可能になります。
「MySql.Data.dll」を読み込まないとMySQLへの操作ができないので、「MySql.Data.dll」の読み込みを忘れないようにしましょう。
「MySql.Data.dll」の読み込みはLoadFileメソッドの引数に「MySql.Data.dll」のフルパスを指定して実行します。
ちなみに、私のPCの環境では「C:\Program Files (x86)\MySQL\MySQL Installer for Windows」配下にある「MySql.Data.dll」を参照しています。
注目すべきコード②
次に見て頂きたいのは8行目から11行目です。
# MySQL接続文字列を設定する $server = "localhost" $database = "testdb" $user = "root" $password = "testPass@123456"
コードの説明
以上のコードは、SQL Serverの接続情報を設定するコードです。
接続先のサーバ名、データベース名、ユーザ名、パスワードをここで指定します。
【参考】MySQLへの接続情報
注目すべきコード③
次に見て頂きたいのは14行目から17行目です。
# 接続文字列を設定する $connectionString = "Server=$server;Database=$database;Uid=$user;Pwd=$password;" # MySqlConnectionオブジェクトを生成する $connection = New-Object MySql.Data.MySqlClient.MySqlConnection($connectionString)
コードの説明
以上のコードは、接続文字列を作成してMySqlConnectionオブジェクトを生成するコードです。
MySQLのデータベースに接続するための接続情報をconnectionオブジェクトに格納します。
このコードにより、どのMySQLのデータベースファイルに接続するのか、PowerShellが認識できるようになります。
注目すべきコード④
次に見て頂きたいのは20行目から23行目です。
# SELECT文を設定する $query = "SELECT * FROM syain" # MySqlCommandオブジェクトを生成する $command = New-Object MySql.Data.MySqlClient.MySqlCommand($query, $connection)
コードの説明
以上のコードは、SELECT文を取得し、そのSELECT文をMySqlCommandメソッドに渡してMySqlCommandオブジェクトを生成するコードです。
MySqlCommandオブジェクトを生成することで、SELECT文を実行することができるようになります。
注目すべきコード⑤
次に見て頂きたいのは26行目です。
# データベースに接続する $connection.Open()
コードの説明
以上のコードは、PowerShellがデータベースに接続する処理のコードです。
注目すべきコード⑥
次に見て頂きたいのは29行目です。
# SELECT文を実行する $reader = $command.ExecuteReader()
コードの説明
以上のコードは、SELECT文を実行する処理のコードです。
実行したSELECT文が抽出したデータはreaderに格納されます。
注目すべきコード⑦
次に見て頂きたいのは32行目です。
# 空の配列を用意する $table = @()
コードの説明
以上のコードは、実行したSELECT文が抽出したデータを格納する配列を用意するコードです。
コンソールに出力する情報をすべて格納しておく「箱」をここで用意しておきます。
注目すべきコード⑧
次に見て頂きたいのは35行目です。
# テーブルのフィールド名をすべて取得する $columnNames = $reader.GetSchemaTable() | Select -Expand ColumnName
コードの説明
以上のコードは、テーブルのフィールド名をすべて取得するコードです。
今回は「syain」のテーブルに対してSELECT文を実行しているので、「syain」テーブルにあるフィールド名をすべて取得し、columnNamesに格納しています。
「t_item」のフィールド名は「id」「name」「address」「age」の4つのフィールドがあるので、この4つ全てのフィールド名がcolumnNamesに格納されます。
注目すべきコード⑨
次に見て頂きたいのは38行目です。
# 取得したデータの最終行まで処理を繰り返すwhileループ while ($reader.Read()) {
コードの説明
以上のコードは、取得したデータの最終行まで処理を繰り返すwhile文です。
今回は10件あるテーブルデータを取得しているので10件目まで処理を繰り返します。
注目すべきコード⑩
次に見て頂きたいのは41行目から51行目です。
# 1行分のデータを格納するPSObjectインスタンスを生成し、rowに格納する $row = New-Object PSObject # フィールドの数だけ処理を繰り返すforeachループ foreach ($columnName in $columnNames) { # rowに行のデータを格納する $row | Add-Member -MemberType NoteProperty -Name $columnName -Value $reader[$columnName] } # tableにrowの値を追加で格納する $table += $row
コードの説明
以上のコードは、取得したテーブルデータをtableに格納する処理のコードです。
取得したテーブルデータを1行ずつ取得し、tableに格納していきます。
コードの詳細
41行目のコードは、新しいPowerShellオブジェクトのPSObjectを生成し、rowという変数に格納します。
44行目のコードは、フィールドの数だけ処理を繰り返すforeachです。
「t_item」のフィールドは「項番」「名前」「単価」「在庫」の4つなので、4回処理を繰り返します。
47行目のコードでは、rowに行のデータを格納しています。
rowへの追加はAdd-Memberコマンドレットを実行します。
Add-Memberコマンドレットに「-MemberType NoteProperty」パラメータを指定することで、追加するメンバー(プロパティやメソッドなど)の種類を指定します。
「-MemberType NoteProperty」パラメータは値を格納するために指定します。
「-Name」パラメータにcolumnNameを指定し、「-Value」パラメータに$reader[$columnName]を指定します。
columnNameには現在のフィールド名が、$reader[$columnName]には現在の列の値が格納されています。
各行のデータが一つのPSObject(PowerShellオブジェクト)としてまとまり、そのプロパティとして各列のデータが格納されます。
51行目のコードは、tableにrowの値を追加で格納します。
注目すべきコード⑪
次に見て頂きたいのは55行目です。
# 表形式でtableの値を出力する $table | Format-Table -AutoSize
コードの説明
以上のコードは、表形式でtableの値を出力するコードです。
注目すべきコード⑫
次に見て頂きたいのは58行目です。
# データベースとの接続を閉じる $connection.Close()
コードの説明
以上のコードは、データベースとの接続を閉じる処理のコードです。
動作確認
「MySQLのデータベースファイルの例」をご覧ください。
最後に
この記事では、PowerShellからMySQLのテーブルデータを取得する方法についてご説明します。
PowerShellからMySQLのテーブルデータを取得したい場合は本記事を参考にして頂けたら幸いです。
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