この記事では、ExcelのマクロからMySQLのテーブルデータを取得する方法についてご説明します。
【動画】ExcelのマクロからMySQLのテーブルデータを取得する実際の動き
本題に入る前に、まずは次の動画をご覧ください。
Connectionインスタンスの生成してMySQLのデータベースへの接続情報を用意したらConnectionインスタンスのConnectionStringプロパティに代入し、Openメソッドを実行することで、マクロがMySQLのデータベースに接続しています。
マクロがMySQLのデータベースに接続したらSQLのSELECT文を実行し、取得したデータをExcelのシートに出力しています。
マクロ作成の流れ
実行すると、ExcelのマクロがMySQLのデータベースに接続されます。
Excelファイルの例
今回は次のExcelファイルを用意しました。
以上の表に、MySQLのテーブルデータを出力します。
また、以上の表に出力するMySQLのテーブルデータは下の通りです。
【参考:MySQL Workbench上で表示されたテーブルデータ】
syainというテーブルにデータが存在しており、そのテーブルからSQLのSELECT文でデータを取得してExcelの表に出力します。
マクロを実行すると、下の通りにMySQLのテーブルデータがExcelの表に出力されます。
コードの例
Option Explicit Sub sample() Dim cn As ADODB.Connection 'Connection用変数 Dim rs As ADODB.Recordset 'レコードセット用変数 Dim sqlStr As String 'SQL用変数 'シートをクリアする Worksheets("work").Range("B3:E25").ClearContents 'Connectionインスタンスの生成 Set cn = New ADODB.Connection 'MySQLへの接続情報の取得 cn.ConnectionString = "Driver={MySQL ODBC 8.1 ANSI Driver};" & _ "Server=localhost;" & _ "Port=3306;" & _ "Database=testdb;" & _ "User=root;" & _ "Password=testPass@123456" 'コネクションを開く cn.Open 'Recordsetオブジェクトのインスタンスを生成する Set rs = New ADODB.Recordset 'SELECT文を用意する(syainテーブルからデータを全件取得) sqlStr = "select * from syain" ''SELECT文を実行してRecordsetを開く rs.Open sqlStr, cn 'テーブルデータをシートに出力する Worksheets("work").Range("B3").CopyFromRecordset rs '後処理 rs.Close cn.Close End Sub
注目すべきコード①
最初に見て頂きたいのは13行目です。
'Connectionインスタンスの生成 Set cn = New ADODB.Connection
コードの説明
以上のコードは、マクロがMySQLのデータベースに接続するための接続情報を取得して接続するコードです。
このインスタンスがないとマクロがMySQLのデータベースに接続することができないので必ず生成しておきます。
注目すべきコード②
次に見て頂きたいのは16行目から21行目です。
'MySQLへの接続情報の取得 cn.ConnectionString = "Driver={MySQL ODBC 8.1 ANSI Driver};" & _ "Server=localhost;" & _ "Port=3306;" & _ "Database=testdb;" & _ "User=root;" & _ "Password=testPass@123456"
コードの説明
以上のコードは、マクロがMySQLのデータベースに接続するための接続情報を用意するコードです。
MySQLのデータベースに接続するための接続情報はいくつかの引数が必要になります。
Driver
Driverには、マクロがMySQLのデータベースに接続するのに必要なODBCドライバーの情報を指定します。
Server
Serverには、接続したいMySQLのサーバの名称を指定します。
今回はlocalhostに接続します。
Port
Portには、ポートの値を指定します。
Database
Databaseには、接続したいデータベース名を指定します。
User
Userには、MySQLのデータベースに接続するためのユーザ名を指定します。
Password
Passwordには、MySQLのデータベースに接続するためのパスワードを指定します。
注目すべきコード③
次に見て頂きたいのは24行目です。
'コネクションを開く cn.Open
コードの説明
以上のコードは、ConnectionインスタンスのOpenメソッドを実行して、マクロがMySQLのデータベースに接続する処理のコードです。
Connectionインスタンスには「注目すべきコード②」で説明した通り、マクロがMySQLのデータベースに接続するための接続情報をConnectionStringプロパティに代入しているので、ここではOpenメソッドを実行することでマクロがMySQLのデータベースに接続されます。
注目すべきコード④
次に見て頂きたいのは27行目から33行目です。
'Recordsetオブジェクトのインスタンスを生成する Set rs = New ADODB.Recordset 'SELECT文を用意する(syainテーブルからデータを全件取得) sqlStr = "select * from syain" ''SELECT文を実行してRecordsetを開く rs.Open sqlStr, cn
コードの説明
以上のコードは、MySQLのテーブルデータを取得するSQLのSELECT文を用意して実行する処理のコードです。
コードの詳細
27行目のコードでは、Recordsetオブジェクトのインスタンスを生成しています。
Recordsetオブジェクトのインスタンスを生成することで、マクロがSQLのSELECT文を実行したり、SELECT文を実行した後にデータを取得することができるようになります。
30行目のコードでSQLのSELECT文を用意し、33行目でSQLのSELECT文を実行します。
SQLのSELECT文が正常に実行されればデータが取得することができ、その取得したデータはRecordsetオブジェクトのインスタンスから取得することができます。
注目すべきコード⑤
次に見て頂きたいのは36行目です。
'テーブルデータをシートに出力する Worksheets("work").Range("B3").CopyFromRecordset rs
コードの説明
以上のコードは、RecordsetのデータをExcelのシートに出力する処理のコードです。
コードの詳細
取得したMySQLのテーブルデータはrecordsetに格納されており、CopyFromRecordsetプロパティにrSをセットすることでB3のセルからrecordsetに格納されているCSVファイルのデータが出力されます。
動作確認
マクロ実行前
今回は以下のExcelファイルを用意しました。
以上の表に、MySQLのテーブルデータを出力します。
また、以上の表に出力するMySQLのテーブルデータは下の通りです。
【参考:MySQL Workbench上で表示されたテーブルデータ】
syainというテーブルにデータが存在しており、そのテーブルからSQLのSELECT文でデータを取得してExcelの表に出力します。
マクロを実行すると、下の通りにMySQLのテーブルデータがExcelの表に出力されます。
【注意】参照設定が必要です
一つ注意点があるのですが、先ほどのコードを動かすには参照設定が必要です。
参照設定の一覧(下の画像を参考)から次の項目(ライブラリ)にチェックを付けて「OK」ボタンをクリックします。
- Microsoft ActiveX Data Objects 2.8 Library(msado28.tlb)
なぜ必要かというと、Excelのマクロのコードの5行目の「ADODB.Connection」と6行目の「ADODB.Recordset」というオブジェクトが「msado28.tlb」というファイルを参照するからです。
Dim cn As ADODB.Connection 'Connection用変数 Dim rs As ADODB.Recordset 'レコードセット用変数
この参照設定をしないと下の画像のエラーが出ますので必ず行う必要があります。
ここでは「msado28.tlb」とは何者かについては記事の本題から逸れてしまうので詳細は割愛しますが、マクロで「ADODB.Connection」「ADODB.Recordset」というオブジェクトを使う場合は参照設定しないと動かない、程度に思って頂ければと思います。
最後に
この記事では、ExcelのマクロからMySQLのテーブルデータを取得する方法についてご説明しました。
ExcelのマクロからMySQLのテーブルデータを取得したいときは本記事を参考にしてみてくださいね。
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